債務整理の初回弁護士相談で必要な事項
1.債務整理の弁護士に相談する際の流れ
弁護士への債務整理の相談は、通常、以下のような流れで進みます。
- 電話・メールなどで相談の予約
- 弁護士と直接面談
- 面談の際に、借金額、収支状況、所有財産などの聴取
- 依頼を決めたら委任契約を締結
- 弁護士が債権者に受任通知を発送
- 受任通知が債権者に到着し、債権者からの請求が止まる
以下では、上記②、③の弁護士との面談の際に把握しておきたい点を説明します。もっとも、以下に述べる全ての内容について事前に把握したり、準備しておかないと相談できないというわけではありません。以下にご説明をするのは、あくまでも事前に把握されていれば、相談がスムーズになり、弁護士の借金の事件処理の方針や見通しが明確になり、適切な解決に至ることが可能になりやすい点に過ぎません。事前に準備や把握されていない場合でも弁護士が相談時に聴取しながら、確認をしていきますので、ご安心ください。
つきましては、借金のご相談の際には、以下の全ての内容について準備が終えていなくても、まずはご相談にお越し下さい。
2.弁護士との法律相談時に把握しておきたい事項
弁護士と法律相談する時に把握しておきたい事項について説明します。
まず、債務整理手続きには、任意整理、個人再生、破産手続きと複数の手続きがありますが、どの手段が良いかという点を検討する上では(1)借金内容、(2)家計状況、(3)借金の使途、(4)資産状況、が重要です。
全てが揃わないと弁護士と相談できないという訳ではありませんが、多くの情報があると適切なアドバイスを得られやすいです。
(1)借金内容
借金内容ですが、①どの会社から、②いくら借りているか、という点が大事です。この点をメモしてご持参頂けると話が早いです。請求書があればそれをご持参頂くのでも構いません。
また、可能であれば、③いつ頃から借金を開始し、④今現在、毎月いくら支払っているか、という点も上記手続きを検討する上で有用な情報となります。
なお弁護士であれば、借金の内容を調べられると勘違いされている方もいらっしゃいますが、借金の内容は重要な個人情報ですので、弁護士でもそのような権限はありません。したがって、その場合は、信用情報機関を利用して借金を調べて頂くことになります。
(2)家計状況
債務整理手続きをする上で、家計状況も重要な情報です。
ご自身で家計を確認して頂き、大凡で結構ですので、毎月の収入、支出、そして借金の返済に毎月どの程度の額を回すことが出来るかを確認しておいてください。
例えば、任意整理や個人再生手続きといった手段が適切な場合には、今後も支払いが継続しますので、毎月の支払い可能な金額の範囲内で進めることが出来るかを検討する必要があります。
(3)借金の使途
借金をどのように使ったかという点は、どの手続きを選択するか検討する上で重要な点です。
例えば、破産手続きは他の手続きと異なり、厳格に借金の使途を問われる手続きです。借金の使途によっては、借金を0にする免責許可決定という決定が得られない場合があります。折角、時間と費用をかけて破産手続きを進めたけれども、借金が残ることもあるのです。その場合には、任意整理手続きや個人再生手続きを検討することになります。
(4)資産状況
破産手続きでは価値のある財産はお金に換えて債権者に配当されます。また個人再生手続きでも、支払金額を決める上で資産額の情報が必要になります。そのため、家、車、保険の解約返戻金、退職金、有価証券、仮想通貨といった資産がどの程度あるかも重要な情報になります。
*住宅ローンがある方は、個人再生手続きを利用すれば、家を残しながら借金を減額することが可能な場合があります。
*車を利用されている方は、車検証の所有者の名義が、ご自身の名義かローン会社名義なのかを確認されておいてください。
3債務整理の種類
(1)借金を解決する4つの方法
借金を解決するには、債務整理が最適です。債務整理とは、借金を解決するための手続きです。債務整理は法的に借金が免除されたり減額されるため、安心して借金問題を解決できます。借金を返し続けることは大事なことですが、返済が困難になったり、返済が完全にできなくなった場合に、そのまま放置しておくことは良くないことで、債務整理の手続きを用いることが大事といえます。
(2)債務整理の4種類
①任意整理
任意整理は、弁護士が債権者と個別に交渉を行い、支払総額と支払金額を決めて、借金を分割して支払っていく手続きです。将来の利息がカットできることが多いため、利息がカットできる分、今後の総支払額を抑えることができます。
②個人再生
個人再生は、裁判所を通じて借金額を大幅に減額し、原則3年間で返済をする手続きです。
③自己破産
自己破産は、裁判所を通じて、原則として借金を全額免除してもらえる手続きです。不動産などの資産がある場合には換価の対象になります。
④過払い金請求
過払い金請求は、利息制限法の利息を超えて支払った利息分の金員を取り戻す手続きです。厳密には債務整理手続きには入りませんが、任意整理の手続きに入ったところ過払金が実はあった事例もあり、債務整理と一緒に取り扱われる例が多数あります。