不貞行為における故意・過失の対象
不貞行為における加害者の故意・過失の対象はどのようなものでしょうか。
不貞行為の加害者の故意・過失の対象としては以下の2つの見解があります。
- 不貞行為時において不貞相手に配偶者がいることであり、かつそれで足りるとする見解(東京地裁平成21年12月25日判決等)
- 不貞行為時において不貞相手に配偶者がいること、かつ、不貞相手の夫婦の婚姻関係が破綻していないこととする見解(東京地裁平成20年10月28日判決等)
①の見解にしたがって処理している裁判例が多くみられますが、①②のいずれの見解が理論的に正しいかは裁判例において決着はついていないのが現状です。平成8年3月26日最高裁判決が不貞行為時に不貞相手の婚姻関係が破綻していた場合は不貞があっても例外的に不法行為は成立しないという結論をとったことからすれば、不貞相手の婚姻関係が破綻していないことを故意・過失の対象とすることは可能であると考えられるため②の見解も十分に成り立ちうると考えられています。