家族が逮捕されてしまった場合
1 突然の逮捕
突然、家族の方が逮捕されてしまった場合はどうすればよいでしょうか。今回は、家族の方が突然、痴漢などで逮捕されてしまった場合に弁護士がとりうる方法についてご説明します。
2 逮捕後
本人が警察に逮捕されてしまうと、身体拘束が始まり、起床、食事、就寝など厳しく監視される環境におかれます。また、ご家族の方との交流も著しく制限されます。
また、逮捕の後は勾留が始まりますが、勾留は少なくとも10日間あります。厳しく生活が制限された中で10日間も勾留されてしまうと、本人の身体的苦痛、精神的苦痛は甚大なものになり、深刻な不安に苦しむことになります。また、10日間も仕事を休ませてくれる仕事先はまずなく、職を失う可能性が高まります。そうすると、本人だけでなく家族までもが路頭に迷うことになりかねません。さらに、否認事件であれば、身体拘束が続くことで本人自身が人質にとられ、無実の罪について自白が強要されかねません。
そのため、弁護人としては逮捕段階では勾留を防ぎ、身体拘束を解放することが何よりも大事になってきます。
3 勾留に対する主な手段
以下に勾留に対して弁護人がなしうる主な手段をご説明します。
(1)検察官に対する意見書提出
本人の勾留を裁判所に請求するのは検察官です。そのため、勾留がされる前、検察官に対して勾留請求をしないように働きかけます。この点、勾留をするためには、勾留の理由と勾留の必要性があることが要件ですが、弁護人としてはそれらの要件を満たしていないことを主張し、勾留請求をしないように検察官に意見書を提出して本人の解放を求めます。
(2)裁判所に対する意見書提出
(1)の意見書を提出したにも関わらず検察官から勾留請求をされてしまった場合は、今度は裁判所に対して勾留決定をしないように働きかけて本人の解放を求めます。この場合においても、勾留の理由と勾留の必要性の要件を満たしていないことを意見書にし、裁判所に提出して本人の解放を求めます。
(3)勾留に対する準抗告
(2)の意見書を提出しても裁判所が勾留の決定をしてしまった場合は、勾留決定に対する準抗告を裁判所に対して行います。近年、弁護人による準抗告が認容され、本人が解放されるケースは増えてきています。本人の身体拘束を解放するために諦めずに手続きをしていくことが肝要になります。
(4)勾留延長請求に対する意見書提出、勾留延長に対する準抗告
勾留に対する準抗告が認められない場合、勾留期間10日間の満期後、勾留が延長され再び10日間の勾留がされることが多くあります。そのため、それを防ぐために勾留延長請求をしないように検察官に働きかけます。しかし、それにも関わらず勾留延長請求がされた場合は、今度は裁判所に勾留延長決定をしないように働きかけます。
それでも裁判所が勾留延長決定をした場合は、勾留延長に対する準抗告を裁判所に対してすることになります。
4 まとめ
以上、勾留に対する代表的な手段を説明いたしましたが、おりお総合法律事務所では、勾留に対する準抗告をはじめとして、勾留を防ぎ、本人の身体拘束を解くことができた事例は多くあります。もし、ご家族の方が逮捕されていまい、何とか本人を早期に解放したいと考えられている方はすぐにご相談ください。