遺産分割協議代理
1 相続の開始について
被相続人が死亡すると相続が開始します(民法882条)。
被相続人の遺言があれば遺言にしたがって相続人の相続分が指定されますが(民法902条1項)、遺言がなければ民法が定める法定相続分にしたがって相続財産が相続されます(民法900条、901条)。
2 遺産分割協議について
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方についての話し合いをすることです。
被相続人が死亡時において有していた遺産について、その共有状態を解消して、個々の財産の権利者を確定させる共同相続人全員による合意をしていきます。
3 遺産分割の対象財産
遺産分割が必要な遺産は具体的に預貯金、不動産、株式、社債、国債、投資信託、現金などがあります。
一方、使途不明金、生命保険、可分債権・可分債務、祭祀財産は遺産分割の対象にはなりません。もっとも、遺産分割の対象に含める旨の当事者全員の合意があれば遺産分割の対象になります。
預貯金を除く可分債権、可分債務は相続開始時に相続分にしたがって遺産分割を経ずに当然に分割単独債権として相続されるため遺産分割の対象になりませんが、可分債権は遺産全体を上手く分割する上で遺産分割の対象とするのが便宜な場合も多いため、実務上は多くのケースで相続人全員の同意を得て遺産分割の対象として取り扱っています。
4 手続きの流れ
遺産分割協議を経た上で合意に達すれば、理論上は口頭でも成立しますが、実務上は遺産分割協議書を作成し、共同相続人全員の住所・氏名を記入して押印します。住所・氏名は印鑑登録証明書に記載されているものを記入し、押印は実印で行います。 遺産分割協議書には共同相続人全員が署名・押印しなければならず、一部の相続人を除外して合意した遺産分割協議は無効となります。遺産分割協議書は全員が集まって一度の機会に署名押印する方法ではなく、遺産分割協議書を持ち回りで署名押印する方法でも成立します。
遺産分割協議書の作成後は、遺産分割協議書にしたがって遺産を分割していきます。
遺産分割協議がまとまらない場合は、最終的には、家庭裁判所での調停や審判の手続きによります。遺産分割調停というのは、家庭裁判所での遺産分割の話し合いです。調停委員が各相続人の間に入って意見を聞いたり、裁判官から具体的な解決策が提案されたりしながら、話し合いが進められます。調停が不成立となった場合には、当然に審判手続きに移行し、裁判所が分割方法を決定することになります。
5 弁護士への相談、依頼
(1)遺産分割協議は相続人全員で行うことが原則ですが、各相続人から委任を受けた弁護士が本人の代理人として遺産分割協議を行うことができます。
遺産分割協議の際に、弁護士には以下のようなことを依頼できます。
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 遺産分割協議の代理
- 遺産分割協議書の作成
(2)実際に弁護士に依頼をするケースとして多いのは下記の様な場合です。
- 色々な事情により他の相続人と直接話したくない
- 遺産分割の流れが良く分からず、自分でするには不安があるので専門家に任せたい
- 遺産分割協議や遺産分割協議書作成の負担を減らしたい
- ある相続人の連絡先が分からず遺産分割協議ができない
これから遺産分割協議をされようとしている方は、北九州の弁護士おりお総合法律事務所にご相談下さい。